コラム2018.06.03
中国人観光客も大喜び!?通訳案内士法改正で地方に中国語ガイドが増えるかも!
2018年の1月に、通訳案内士法が改正されました。増加する訪日外国人観光客に通訳ガイドの数が追いついておらず、特に中国語の有資格者は少ないという現状があったからです。法改正により、中国人観光客が求めるニーズを満たすことはできるのでしょうか?
通訳案内士から全国通訳案内士へ
法律が改正される以前は、報酬をもらって顧客にガイドを行う為には「通訳案内士」という国家資格が必要でした。通訳案内士は通称「民間外交官」と言われ、日本の印象の良し悪しを決める大切な役割を担っていると言っても過言ではありませんでした。
通訳案内士の試験に合格するのは難しいと言われており、合格率は平均して20%程度でした。語学力だけでなく、日本の文化や歴史、地理にも精通していないとなれないのです。
一方で、中国人観光客を始めとする外国人観光客が急増し、ガイドを求める人の数とガイドが出来る通訳案内士の数にアンバランスが生じていたのです。
その為、政府は規制を緩和して、外国人観光客向けのガイドを増やそうとしました。制度が創設されて以来、68年ぶりに通訳案内士法が抜本的に改正されたことにより、語学が堪能であれば資格を持たない一般の人でも、訪日外国人観光客を相手に有料で通訳ガイドができるようになったのです。
全国通訳案内士は観光地への案内、旅行中のトラブルに対するサポートも行います。母国語が出来るガイドが増えれば、日本を旅行する外国人の満足度も上がるはずです。
中国語ガイドが足りない!
前述した通り、通訳案内士の試験は大変難しいものですが、特に中国語は超難関と言われています。合格率も10%前後にとどまっており、中国人観光客に対する有資格者の数が圧倒的に不足しています。
2017年に日本を訪れた中国人観光客の数は、735万人に達しています。通訳案内士の登録者数は約2万人ですが、その70%以上が英語での資格保持者です。中国語の通訳案内士は全体の約1割しかいません。
中国人観光客が求めるガイドのニーズに対応できていない状況から、中国人を相手にした悪質な無資格ガイドが横行しているのも事実です。この点に関しては、中国政府からも改善策を求められてきました。早急に中国語ガイドを増やす必要がある為、今回の法改正は大きな一歩と言えるかもしれません。
地方にも中国語ガイドを
中国人観光客の訪日パターンは徐々に変化しています。これまでは、中国人のガイドと一緒に日本を訪れる団体旅行が大半を占めていました。しかし、今後は個人旅行での来日が増えると予想されます。また、都市部だけではなく地方へも中国人の足は伸びています。
法改正が行われる前の通訳案内士は、75%が首都圏や大阪、京都といった都市部に集中していました。その為、中国人がガイド付きで地方を回りたいと思っても、ガイド出来る日本人がほとんどいない状況でした。
今回の法改正では、地方の観光地に特化した「特例ガイド」という制度が設けられました。例えば、京都市の歴史・文化専門ガイド、世界遺産(熊野古道・高野山)エリア専門ガイド、奈良公園専門ガイドなど特定の地域に根差した観光案内をする通訳士の制度です。
この制度の登録者数は、2015年6月の時点で全国に650名ほどですが、地方公共団体の研修を受ければガイドに認定される為、今後ますます増加が見込まれます。
中国語が出来る観光ガイドが全国各地に増えれば、個人旅行でやってくる中国人観光客に重宝されるでしょう。
最後に
我々、日本人が海外旅行をするときも日本語を話せる現地ガイドがいれば充実した旅を送れますよね。日本を訪れる外国人の方も同じです。
中国人観光客の旅をより素晴らしいものにする為にも、通訳案内士の活躍が期待されます。