コラム2018.01.10
訪日外国人観光客に、よりスムーズでよりストレスフリーな旅を~交通編~
政府は2020年の目標として、訪日外国人の数を4000万人にするとしています。実現すれば、今の約2倍の外国人が様々な交通手段を使って日本国内を移動することになります。日本の公共交通機関における問題点と今後の対策についてまとめました。
訪日外国人観光客のストレス
日本の公共交通の正確さは、世界一と言われています。過密なダイヤにも関わらず、バスも電車も新幹線もほぼ定刻に出発し、定刻に到着します。訪日外国人の中でも、特に中国人は時間の決められた団体旅行が多い為、この正確さが彼らの旅を支えていると言っても過言ではないでしょう。公共交通機関の事故も少なく、安心安全な日本の公共交通は世界に誇れる素晴らしいものであることは確かです。
しかし、そんな世界一の公共交通機関にも、訪日外国人は不満を感じているのです。観光庁が行った調査によると、「旅行中に困ったことはなんですか?」という問いに対し、「無料公衆無線LAN環境」が36.7%と最も多く、次に「コミュニケーション」が24.0%、そして3番目に「目的地までの公共交通の経路情報の入手」が20.0%となっています。日本の公共交通手段は、乗れば大変便利で正確なことは確かですが、訪日外国人は乗るまでに苦労をしているのです。
具体的な例を挙げると、「交通情報が発信されていても言語が対応していない」「主要駅の広さの割に案内表示が少ない」「チケットの購入方法が難しい」などという声が聞こえてきます。各主要ターミナルに設置されている観光案内所の訪問目的、質問内容の約6割を占めるのが「目的地までの公共交通の経路・情報」です。日本人からすれば丁寧に案内が書かれているように見えますが、訪日外国人からすれば「聞かないと分からない状態」になっているのです。
世界が訪れたくなる日本に向かって
交通インフラをよりよい方向に変えていくため政府も努力しています。観光庁が平成28年3月に行った「明日の日本を支える観光ビジョン構想会議」の中で、政府は新たな観光ビジョンを策定し、訪日外国人の方々が全国どこへでも快適でストレスフリーな旅ができるよう努めています。つまり、都市部以外の地方都市であっても、スムーズな移動ができることを目指しているのです。
今後、インバウンド需要を拡大していくためには、訪日外国人、とりわけ最大の顧客である中国人観光客に地方まで足を運んでもらうことが重要になってきます。その為に、国は「地方創生回廊」という構想を進めています。地方創生回廊が完備されれば、訪日外国人は全国どこへでも快適な旅行が実現でき、隅から隅まで日本を巡ることが出来るようになるかもしれません。
その一手として、「ジャパン・レールパス」を訪日後にも購入出来るようにしようとしています。「ジャパン・レールパス」とは、JRグループ6社が共同で提供している訪日外国人向けのフリーパスです。一部除外はあるものの、新幹線も乗車可能なため、中国では口コミで広がり人気になっています。これまで、訪日しようとする外国人は渡航前に購入しなければいけませんでしたが、現在試験的に国内の一部販売所で発売しています。
また、東京オリンピックが開催される2020 年までに、全国の公共交通機関を網羅した経路検索(外国語に対応)を可能にし、大都市のバス路線のアルファベット・数字表記等のナンバリングを実施予定としています。
最後に
ますます便利で使いやすくなる国内の公共交通ですが、中国人観光客をはじめとする訪日外国人の乗車マナーの問題も深刻です。これから訪日する外国人はもちろん、日本人も含め、全ての人々が気持ちよく移動できる公共交通を目指してほしいと思います。
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