コラム2020.03.02
中国人観光客から見た、鹿児島の魅力
九州最南端に位置する、鹿児島県。日本人の間でも観光地として人気で、近年は「西郷どん」の放送などで注目を集めてきました。そんな鹿児島県が、中国人観光客から人気となっています。自然と観光というキーワードから中国人観光客の新しいニーズを探ります。
鹿児島県へのアクセスが画期的に改善!
なぜ鹿児島県への中国人観光客が急増しているのでしょうか。大きな理由はアクセスの改善です。
1つ目は空路です。鹿児島空港はもともと、中規模のターミナルを有し九州でも指折りの大型空港でした。さらに近年、LCCの誘致に非常に力を入れています。
日本主要都市へ多くの本数が就航しているうえ、上海や香港をはじめ海外へ向かうLCCが運行されています。
陸路でのアクセスは難しいですが、空路ならばかんたんにアクセスできます。鹿児島空港は鹿児島市へのアクセスはいいとは言えない立地ですが、付近には霧島市、姶良市があり、霧島神宮や温泉へのアクセスは良好です。
そして鹿児島のインバウンドで非常に重要な立ち位置をしめているのが、豪華客船クルーズの立ち寄りです。
太平洋側の都市は大きな経済効果が見込めるクルーズ船の誘致を進めていますが、鹿児島は成功例の一つと言えるでしょう。多い時は月10~20隻ものクルーズ船が鹿児島へ寄港しています。
豊かな観光資源と適度な賑わい
鹿児島を訪れる中国人観光客にとって、2つの大きな目的は「グルメ」と「温泉」です。
鹿児島は黒豚、地鶏を始めとした肉類と、枕崎のカツオ、きびなごなどの新鮮な地魚という素晴らしい食材が揃っています。
特に評判なのは「鳥刺し」で、生食に抵抗の少ない中国人観光客にとって目当てにする人も多いです。
グルメは「食べたものをとりあえず写真に撮る」という人も多く、観光地の宣伝の上でとても大事な役割を果たします。
その点で、鹿児島の「美味しそうで、統一感のある」グルメはとても訴求力があるのです。
お酒の強い中国人観光客にとっても、濃い味の料理と焼酎は大人気です。(もっとも、芋焼酎はかなり人を選ぶようですが)
また指宿温泉、霧島神宮温泉を始めとする豊富な温泉施設は高い人気を誇っています。
特に指宿温泉の砂むし風呂の風景は中国のSNSで少し話題となったこともあり、わざわざ遠出してまで向かう観光客もいる程の人気です。
温泉地は鹿児島県内の至るところにあるため、観光客が一部に集中することをふせいでいます。ただ、まだまだ車移動する中国人観光客は少ないのでバスツアーの誘致は重要でしょう。
こういった観光資源と、適度に賑わっていることによる便利さが鹿児島の人気を押し上げています。
「離島」観光も人気を後押し
鹿児島独自の魅力が、離島が多く、それが独自の文化を築き上げている点です。
最も人気なのはやはり世界遺産、屋久島です。豊富な自然に加え夏季には登山も人気で、鹿児島観光のついでに訪れる方は数多いです。
鹿児島港からフェリーはあるものの高額なこと、時間がかかることから中国人観光客は鹿児島から飛行機で訪れることが多いようですね。
奄美大島はその次によく知られている観光地です。大阪・関西空港方面からのアクセスがLCCの就航によって良化したことで、飛躍的に観光客数が伸びました。
マングローブ林など、沖縄よりさらに自然を感じることのできるリゾート地として人気を集めています。
さらに通な観光地は、南部にあるトカラ列島や西部にある甑島列島でしょう。
特に甑島列島は空港がなく串木野からフェリーに乗らなければならないなどアクセスのハードルが高く、これまであまり注目されてきませんでした。
しかし「長目の浜」をはじめ優れた自然景観、優れた食文化に加え観光客を受け入れるインフラの整った島です。
今年2020年には全島を結ぶ橋が完成し、ますます便利になることから今鹿児島の離島エリアで最も注目すべき観光地と言っていいでしょう。
このように多様な文化、自然景観を持つ鹿児島の離島エリアは日本の他の地域にはない魅力を感じさせています。