コラム2019.10.07
訪日外国人観光客だけを喜ばせようとするのは危険なワケとは?
初めはゴールデンルートだけでしたが、今では地方にも多くの訪日外国人観光客が訪れています。それに伴いインバウンド対策を行う企業も増えていますが、ターゲットを訪日外国人観光客にだけ置くには危険だと言われています。なぜでしょうか?
訪日外国人観光客自体が減少する可能性も
まず考えておかなければならないことは、このまま訪日外国人観光客自体が増え続けるとは限らないことです。何かをきっかけに一時的に減少したり、一気に減少してしまったりする可能性もあります。
そうなると、訪日外国人観光客にターゲットを絞りすぎた観光施策では、立て直すのに時間がかかってしまうでしょう。
訪日外国人観光客が喜ぶものとは?
訪日外国人観光客をターゲットにし、彼らを喜ばそうと思った時、真っ先に思い浮かぶのは何か。それは「日本らしさ」を感じられる何かを提供することではないでしょうか。
日本人が海外へ行った時も「その国らしさ」を感じたいと思う人は多いですよね。多くの訪日外国人観光客も同じように感じており、日本文化を体験できることを望んでいると思います。
「日本らしさ」を提供するとどうなる?
訪日外国人観光客をターゲットに絞った時、「日本らしさ」を提供するという方法は間違ってはいないでしょう。
しかし、長い目で見た時、本当にそれで良いのかという疑問がわいてきます。
「日本らしさ」が何かという捉え方は当然一つではないものの、そう大きくずれるものではありません。各地方がこぞって「日本らしさ」を提供したならば、どこに行っても同じような体験ばかりになってしまうという危険性もあります。
それと同時に、国内旅行を楽しみたい日本人にとって、その「日本らしさ」は魅力的にうつるでしょうか?多くの場合、そうはならないと考えられます。
他の観光立国はどうなっている?
他の観光立国と言われる国、例えばスペインやフランスでは、国内外問わずの観光客が同じコンテンツを同じように楽しんでいると言えます。
ここ数年で新たに設けられた訪日外国人観光客向けのコンテンツの多くは、あくまでも訪日外国人観光客向けであり、日本人と混じり合って参加するというものはそれほど多くありません。
自国の国民にも楽しんでもらえる魅力的なコンテンツであれば、訪日外国人観光客にも魅力的にうつる可能性も高いでしょう。
「地域らしさ」を提供する
では、その「地域らしさ」を提供した場合はどうでしょうか。
訪日外国人観光客にとっては、“日本の”地域を感じられるでしょうし、日本人にとってもその地域でしか体験できない、新たな体験となるはずです。そうなれば、一つのコンテンツであっても、国内外問わず観光客が楽しめるようになるのではないでしょうか。
まずはコンテンツではないインバウンド対策から
訪日外国人観光客に喜んでもらえるコンテンツを作る前に、やっておくべきことがあります。
それは多言語対応です。トイレや交通案内の看板、観光施設までの案内図、観光案内所での案内など、訪日外国人観光客が観光地で困らないような対策を取っておく必要があります。これは、必ず新たに取り組まなければならないことと言えます。
どの地域にも、ある程度「これが観光の売りだ」というものがあるでしょう。まずは今あるコンテンツを、訪日外国人観光客にも楽しんでもらえるように整える必要があるのです。
最後に
訪日外国人観光客が何を求めているのかを考えることは重要です。
しかし、すでに日本のおもてなし精神やサービス精神に慣れている日本人の観光客が満足するようなコンテンツを作ることができ、多言語対応ができれば、きっと訪日外国人観光客も満足してくれるのではないでしょうか。
訪日外国人観光客に気を取られすぎず、国内の観光客から見ても魅力的にうつるコンテンツ作りをしたいですね。