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コラム2019.06.07

中国電子商取引法(EC法)施行による、日本での影響とは?

2019年1月1日に施行された中国電子商取引法(EC法)により、個人の代理購入や代理購入業者が厳しく取り締まられるようになりました。日本のインバウンド市場にとっても逆風と言われるこのEC法。実際に日本にはどのような影響があったのでしょうか。

爆買いは自分のためのものだけではなかった

日本においてインバウンド消費が盛り上がりを見せた頃、話題になったワードが「爆買い」です。家電量販店に免税店、ドラッグストアといったお店は同じ商品をいくつも購入する中国人で溢れかえっていました。
これらの買い物は、自分で消費するものももちろんあったでしょうし、親戚や友人に頼まれたものもあったでしょう。
しかし、それだけではなく、たくさん購入して中国に持って帰り、ECサイトで売って利益を得ている人たちがたくさんいたのです。このような海外での代理購入が組織的に行われることもあり問題となっていますが、こうした購入によって日本のインバウンド消費が拡大していた部分もあるといえるでしょう。

EC法の施行により、こうした代理購入にメスが入った形です。

空港税関での厳しいチェックが話題に

中国税関では、合計価値5,000元(約8万円)以上の個人用物品を持って入国するときには、自主的に申告しなければならないことになっています。しかし、これをせず、税金を支払わないまま物品を自国に持ち帰っている人があとを絶ちませんでした。また税関職員としても、それをあえて取り締まろうという空気もなかったようです。

EC法の施行を前に話題になったのは、空港税関での厳しいチェックです。特に2018年10月の国慶節の際には、海浦東空港でこれまでスルーされてきたはずの多くの旅行者の荷物を開いて検査をし、税関に大行列ができている様子が中国国内で報道されたのです。実際に限度を超えた物品を持ち込もうとしていた代理購入者が多数発見され、納税にも列ができていたとか。さらに高級品の持ち込みに至っては、密輸犯として連行された人もいたとのことです。

中国政府としては、限度を超える物品を持ち込む場合には納税しなければならないことを周知徹底したいわけですから、こういった報道は歓迎されますよね。

実際にこれらの報道を見た中国人は、あまり悪いとも思わずにやっていた代理購入や、自分自身の限度を超える買い物についても危機感を覚えます。こうして個々の旅行者も消費を抑えるようになってしまったのです。

悪いとわかった上で行なっていた代理購入業者としても、高い確率で納税しなければならないとなるとうまみはなく、それだけならまだしも罰金となるとマイナスとなってしまうため、撤退や休止としたところが多かったようです。




免税品の販売額が急激に減少

このように、消費を抑えるようになった中国人観光客や業者。こうした影響もあって、2019年1月の百貨店の免税品販売額は顕著に減少してしまったようです。店によっては、前年同月比で2〜3割も売り上げが減少したというから、問題は深刻です。

他に高級路線の美容関連商品なども、中国人の爆買いによって支えられていた面が大きく、1月から大きく売り上げが下がったことにより、黒字から一転赤字になってしまった企業もあるということです。

最後に

EC法が施行される前から、中国人観光客の目的はショッピングからコト消費に移ってきていると言われてはいました。しかし越境EC市場自体は膨らみ続けていたわけです。日本のものを欲しいと思ってくれる人はたくさんいるのですから、難しいことではありますが、正しいルートで、正しくショッピングをしてもらえることがベストですよね。
一方で、中国では海外製品しか安心して購入できないと考える中国人が多いという現状自体を、変えていかなければならないと言えるでしょう。

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