コラム2019.05.21
雨を味方に!梅雨の季節を楽しむ訪日外国人観光客のお目当てとは
雨ばかりでジメジメとした梅雨、日本人にとっては過ごしづらい季節がやってきました。しかし、訪日外国人観光客の中には、あえて6月のrainy season(梅雨)に日本旅行を楽しんでいる人たちがいます。雨の季節に彼らがお目当てにしているものとは何なのでしょうか。
6月の訪日外国人観光客数は1年の中でも3番目に多い
日本人からすると、GWのある5月と夏休みに入る7月にはさまれ、祝日のない6月は旅行の計画が立てづらい時期です。つまり、国内旅行はひとまず夏までの閑散期ということになります。
一方、訪日外国人観光客は違います。JNTOが発表している月別の訪日外国人観光客数で6月の数字を見ると、2018年は4月、7月についで3番目に来日客数が多い月なのです。
中でも、アメリカの学校は6月上旬から夏休みに入るところがほとんどです。子供の夏休みを利用しているのか、昨年1年間を通してアメリカ人がもっとも来日した月は6月でした。他にも、6月がスクールホリデーにあたるシンガポールからの旅行者も多くみられます。
例年、中国人観光客のピークは7~8月ですが、例えば日本の酷暑を体験したリピーターであれば、夏の強烈な日差しが降り注ぐ前に、あえて6月を旅行に選ぶ可能性は高いと考えられます。
つまり、国内旅行が伸び悩む6月の観光スポットを潤してくれるのが訪日外国人観光客なのです。
アジサイ、花しょうぶ、ラベンダー、梅雨の季節を彩る花が人気
そんな、梅雨の日本を訪れる外国人観光客を魅了しているものの1つが、6月に咲く花々です。
6月の花といえば、アジサイを思い浮かべる人も多いと思います。我々日本人も、梅雨のアジサイを見に名所を訪れますよね。訪日外国人観光客も、アジサイの美しい彩りに心を奪われるようです。
関東のアジサイの名所といえば、箱根の登山鉄道、神奈川県鎌倉市の明月院、関西なら奈良県の長谷寺、京都の丹州観音寺、大阪の勝尾寺などが有名です。場所によっては、インバウンド向けのアジサイマップが用意されていますし、ライトアップも行われているので昼と夜で表情の違ったアジサイが楽しめます。
また言うまでもなく、この季節の富良野のラベンダーは見応え十分です。6月から9月にかけては、札幌―富良野間で「フラノラベンダーエクスプレス」、旭川―富良野間で「富良野・美瑛ノロッコ号」が特別に走ります。多くの日本人も利用している観光列車ですが、壮大な景色を求めてたくさんの外国人観光客も足を運んでいるようです。
他にも6月に咲く花と言えば、花しょうぶがあげられます。まだまだ知名度はありませんが、花しょうぶが咲く梅雨どきは各地で花しょうぶ祭りが開かれており、外国人観光客ウケもよさそうです。
自国に咲かない花をSNSにアップするのが醍醐味
日本の花と言えば、春に満開を迎える桜があまりにも有名です。桜の季節は、どの名所も外国人観光客で混雑するほど人気です。しかし、最近では桜の季節以外でも、日本の花をめでるために来日する人が増えているといいます。
彼らが日本の花々に魅了される一つの理由は、「日本でしか見ることができない」ということです。加えて、SNSに映える花の風景が外国人観光客に好まれていると考えられます。自国には咲かない美しい花と記念写真をとり、SNSにアップするのが旅の醍醐味なのでしょう。
実は、中国人はアジサイにあまり馴染みがありません。今後、中国人観光客のリピーターを呼び込むためにアジサイが一役買うかもしれませんね。
まとめ
日本には、雨だからこそ美しく見える風景や花があります。日本人にとっては嫌な湿っぽさまでもが、日本の魅力になるのです。
梅雨の季節をあえて選んで訪れる外国人観光客のみなさんに、ぜひ「雨もしたたる素敵な日本の花」を満喫してもらえたらなと思います。