コラム2019.03.14
インバウンドにも影響大!中国人の錦鯉愛好家が増加中!
日本が誇る文化のひとつである錦鯉。優雅で美しい姿から「泳ぐ宝石」といわれ、現在は日本国内よりも海外で需要が多くなっています。中でも近年になって特に熱をあげているのが中国人のようです。今回は、中国人と錦鯉についてみていきましょう。
海外における錦鯉事情とは
現在、錦鯉の需要は日本国内よりも海外の方が断然多い状況です。
国内需要が減少している一因としては、国内の住宅事情が考えられます。昨今はマンションなどの集合住宅が増え、広い庭がある一戸建て住宅が少なくなっており、錦鯉を家で飼育するのが難しいケースが多いのです。
一方で、年々右肩上がりの海外需要。錦鯉愛好家は世界各国に広がっています。
かつて、錦鯉市場では欧米の愛好家の存在が目立っていましたが、最近では中国を中心としたアジアの富裕層の愛好家が増加し、日本の品評会や、産地へ出向き錦鯉の買い付けを行っている姿をよく見かけます。
養魚場で行われる錦鯉の競りは、主に中国人を中心としたアジア各国向けに錦鯉を売るアジア系のディーラーの姿が目立ちます。およそ7~8割の鯉が外国人により落札され、特に高額な錦鯉は中国人に落札されることが多いようです。
中国をはじめとした海外各国で、錦鯉愛好家が増加している背景としては、InstagramやFacebookなどのSNSが錦鯉を知るきっかけになっていること、またオンラインストアで日本の錦鯉を購入できるようになっていることなどが考えられます。
日本産の錦鯉。輸出量ナンバー1は中国
日本で生産された錦鯉の7割以上が海外に輸出されています。2016年度の農林水産省のデータによると、錦鯉を主とした観賞用魚の輸出額は35.6億円で、平成20年の輸出額と比較すると約1.6倍も増加しています。
2016年度の輸出額を国別でみると、1位は香港(11.4億円)、2位はオランダ(3.9億円)、3位は米国(3.2億円)と続きます。
10年前の輸出量と比較したときに、欧米への輸出は緩やかな増加傾向であるのに対し、香港は3倍以上も輸出量が増加しています。
香港の輸出額がこれほどに増えているのは、香港での需要増加もありますが、それ以上に、中国本土での人気が高まっていて、香港から相当数の錦鯉が中国に渡っていることが一因といわれています。
そもそも香港から中国へ錦鯉が渡っている背景としては、かつて検疫や物流システムから鯉を直接中国へ輸出できなかったことがあり、その時に大量の錦鯉が香港経由で中国に販売されていたからなのです。
近年、錦鯉を日本から直接中国へ輸出できるようになったことから、今後さらに錦鯉の需要は高まることが期待されています。
中国人にとって錦鯉が魅力的な理由
中国において鯉は、昔から立身出世や商売繁盛の縁起のよい魚であるとされてきました。
中国経済の発展に伴い、中国の富裕層の間では、ステータスの一種として錦鯉を飼うことが広まったといわれています。
中国では赤は縁起のよい色とされています。そのため、100種類以上ある錦鯉の品種のなかでも、特に、白地に紅色の斑紋がある「紅白』や、白地に紅色と墨色の斑紋がある『大正三色』などが好まれる傾向があります。
また、錦鯉は美しい見た目もさることながら、その穏やかな性質も魅力のひとつです。鯉は、群れていても他の魚と争うことはほとんどありません。人懐っこい一面もあり、水面から顔を出して餌をねだる姿が可愛らしく、見るものを癒してくれる点も魅力のひとつなのでしょう。
観賞だけではない!愛好家による錦鯉の楽しみ方
日本で行われる錦鯉の品評会や錦鯉の産地には、多くの外国人が訪れ、お気に入りの鯉を購入しますが、自国へ持ち帰られることなくそのまま業者に預けられるケースが増えているようです。
その目的は、錦鯉を美しく大きく育てて、ショーに出すため。最近の愛好家は、観賞を楽しむ以外に、いかに美しく育てるかという楽しみ方を選ぶ人が増えているようです。
最後に
いかがでしたか。今後はさらに、中国への錦鯉の輸出額が増える見込みなので、錦鯉の愛好家も増加することでしょう。錦鯉の人気が高まることは、今後のインバウンドへの影響も大いに期待できるといえますね。