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コラム2019.03.10

大衆酒場、立ち飲み屋に集まる中国人観光客

昔から飲み屋街といえば、安く美味しくお酒を飲める大衆酒場や立ち飲み屋。
しかし今、異変が。中国人観光客が多く訪れているのです。
日本人でもはじめての店だとちょっと抵抗のあるこうした大衆酒場に、なぜ中国人観光客が集まっているのでしょうか?

キーワードは「レビューサイト」

なぜ中国人観光客が大衆酒場を訪れているのでしょうか?
キーワードは、一見こうした大衆酒場とは真逆の存在にも思える、IT化とレビューサイトです。

日本人もよく見るレビューサイトですが、中国人観光客は日本で飲食店を探す時に日本人以上にこうしたサイトを参考にします。

中国人観光客は日本にあるお店の評価や口コミを調べる手段がありませんから、ある意味では必然と言えるかもしれませんね。

中国には中国版食べログと言った存在の「大衆点評」(dianping)や「美团」(Meituan)がありますが、日本店の掲載は多くはありません。

また食べログやぐるなびを活用する旅行客もまた、多いとは言えません。そこで、トリップアドバイザーやグーグル評価などの国際的なレビューサイトがよく参考にされるのです。

こうしたサイトは食べログなどと異なりレビューの単純平均を取っているサイトが多いです。なので、一つ悪いレビューがあるとガクッと全体の評価が落ちてしまいます。
大衆酒場のような固定客が多い店は高くなりやすく、チェーン店など、間口が広く色々な人が訪れる店ほど、不利になりやすいと言えますね。

また、従業員の態度が悪いとすぐに悪い評価をしてしまう人も多いものです。大衆酒場に接客を期待する人は少ないでしょうから、こうした点でも高い点数がつきやすいです。

現に、観光客が必ず参照するトリップアドバイザーは個人営業の小さな店がほとんどを占めています。こうしたレビューサイトには価格帯のフィルター機能もありますから、安く、評判のいい店を調べようとすると立ち飲み屋、大衆酒場がヒットしやすい、という仕組みです。

キャッシュレス化は問題ないの?

インバウンドについて語られる時、近年まず重視されるのがキャッシュレス化です。
キャッシュレス決済がなく、現金のみの取扱だと機会を損失しかねない、というのは半ば常識となりつつあります。

しかし大衆酒場、立ち飲み屋でキャッシュレス決済はおろか、カードがきく店というのも大変に珍しいのではないでしょうか。
良心的な価格帯で提供しているだけに、こうした支払いの手数料がバカにならないという問題があるからかとは思われます。

では、キャッシュレスに全く対応していないこうした大衆酒場に抵抗を抱かないのでしょうか。
結論から言えば、抵抗を持つ人は少ないかと思われます。

なぜなら、中国人観光客はこうした大衆酒場を、飲食店というよりもパブのような感覚で捉えているからです。
キャッシュ・オン・デリバリーと言われるような、現金を払ってその都度商品を受け取る支払いスタイルがあります。
日本の立ち飲み屋にも古いところではカウンターの前のかごにお金を入れておいて、そこから食べたり飲んだりした分だけを差し引くという方法をとっている店もありますよね。
安い酒場=現金というイメージは、何も日本に限った話ではないのです。

さいごに

インターネットで安く、評判のいい店を探すとヒットしやすい立ち飲み屋や大衆酒場。
安い値段で本格的な和食や郷土料理を食べられる店も多く、大人気です。

しかし本来こうした外国人旅行者をターゲットにしていない店がほとんどのため、多言語化が進んでいない現状に課題があるといえます。
そんな中、最近ではカメラで撮影するだけで翻訳できる機能など、技術の進歩はこうした壁さえも乗り越えつつあります。

またキャッシュレス化について大きな問題ではないといったものの、中国人観光客をターゲットとするなら、進めるに越したことはありません。周囲にまだキャッシュレス化に対応していない店が多ければ、キャッシュレス決済ができることが大きな差別化にもなるでしょう。
このようにインバウンドに対する課題を解決していくことで、今後、こうした地元ならではの酒場の人気はどんどんと増していくかもしれません。

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