コラム2019.01.30
中国人観光客に今人気の「ローカル鉄道」
中国人観光客のこれまでのルートとしては大阪、京都、東京といった人気観光地で「爆買い」のあと、すぐに空港から帰ってしまう…ということが一般的でした。しかしそんな中、ただの交通手段としか見られていなかった鉄道が、今、中国人観光客に注目されているんです!
なぜ今ローカル鉄道に注目が?
では、なぜ今日本のローカル鉄道に注目が集まっているのでしょうか。
ポイントとしては2つです。
1つ目は、中国の住環境の変化です。
かつては中国の都市部も少し郊外に出れば緑が豊かでのどかな場所が多かったのですが、今急速な成長によって都市が拡大し、そういった郊外がどんどんと無くなってきているのです。
そのため、そういった都市部で生まれ育った世代には田舎やのどかな場所をゆっくりと走る列車が珍しく思え、大変人気となっています。
ローカル鉄道の側にも、こうした観光客を呼び込もうと工夫をこらしているところも多いです。京都丹後鉄道(丹鉄)などは、途中駅のないところで一旦停車し、解説のアナウンスを流すというサービスも行っています。
これは都市部の鉄道では見られない風景ですね。
2つ目は、グーグル・マップの存在です。
これが一番大きい影響を与えていると言えます。
今もですが、ローカル鉄道の時刻表や路線図は多言語対応していないところが多く、ローカル鉄道に中国人観光客を始めとする外国人が乗るのはとてもハードルが高いものです。
しかし今観光客が道案内に必ずと言っていいほど使用するグーグル・マップでは、こうした乗換案内や乗る電車、時刻表といった情報がすべて表示されます。
行き先を選択して、表示された時間に来た鉄道に乗り、位置情報を頼りに下車する、という具合に、ほぼ現地の表示に頼らずにローカル鉄道に乗車することができるようになったのです。まさにこれは革命的でした。
インバウンドにどんな影響が?
インバウンドビジネスにも、ローカル鉄道ブームはとても重要です。
ローカル鉄道は本数が少なく、また終電もとても早い場合が多いです。
今まで車では通り過ぎてしまうようなローカル駅の周りで飲食店を探したり、宿泊したりといったケースも多く見られます。
また、中国人観光客にとりわけ人気なのが鉄道と温泉の組み合わせです。
中国人観光客にも温泉はとても人気ですが、また同時に車を運転するのを嫌がる観光客も多いです。これは日本人が海外に行ったときもそうですが、やはりルールが全く違うので、トラブルを避けたいと思うものです。
そうした中、温泉に行くためにローカル鉄道を使う場合が増えてきています。
特に秘湯と言われるような小さな、奥座敷のような温泉には、これまでのような大型の観光バスが乗り付けていなかったり、あえてそうしたバスを嫌う中国人観光客の方も多いです。
その時の「ついで観光」で、帰りのローカル鉄道の沿線に立ち寄る、といったケースもよく見られるものです。
これは、長い乗り継ぎのある駅によく見られます。ちょうど飛行機のトランジットのような感覚で、周辺を散策したり食事したりするようです。
最後に
今まで、どうしても言葉の壁から乗ることにハードルが高かったローカル鉄道も、技術の進歩によって簡単に乗れるようになりました。
乗って楽しい、着いて楽しい。飛行機や車ですばやく目的地を回る観光もいいですが、ゆったり電車に揺られながら観光するというのも良いものです。
かつて中国人観光客は観光において効率を重視する方も多かったのですが、二回目三回目とリピートされている方ほど、そうしたゆったりとした旅行を好む傾向にあります。
特に鉄道好きの観光客は、こうした鉄道旅行をSNSにアップしたりすることもよくあります。
ぜひそうしたローカル鉄道旅行で、日本の魅力をもっと知ってもらいたいものですね。