コラム2018.11.30
インバウンドはクリスマスに増えるのか?12月に注目するべき国はどこ?
今年も残すところあとわずか。1年のインバウンドの締めくくりとも言える12月、クリスマスから年末にかけてのイベントが各地で計画されています。この時期、インバウンド需要は高まるのでしょうか?各国の訪日来客数を見ながら分析してみましょう!
過去3年間の12月の訪日外国人観光客数は
JNTO(日本政府観光局)がとりまとめている、2015~2017年の訪日外国人観光客数をみてみましょう。
2015年12月・・・1,773,130人(+43.4%)
2016年12月・・・2,050,648人(+15.7%)
2017年12月・・・2,521,262人(+22.9%)
※()内は前年同月比
2015年と2016年の人数は、12ヶ月の中でも単月としては4番目に多く、2017年は3番目でした。つまり、過去3年間を振り返ると12月は1年通してもインバウンド数が多い月だということが分かります。
前年同月比も順調に伸ばしているため、今年も同じような傾向で12月は訪日外国人観光客が増えると言えるのではないでしょうか。
12月は中国人観光客数が伸びない
しかし、インバウンドの要ともいえる中国人観光客に限っては当てはまりません。同じように、2015~2017年の12月の人数をみてみると分かります。
2015年12月・・・347,034人(+82.7%)
2016年12月・・・427,462人(+23.2%)
2017年12月・・・564,264人(+32.0%)
※()内は前年同月比
それぞれの年で他の月と比較しても、2015年は10番目、2016年は12番目、2017年は8番目の人数です。
中国人観光客が伸び悩むのは、中国人の休みに関係しています。旧正月の春節、夏休み、国慶節は、長期休暇が取れるので中国人観光客も旅行のしやすい時期です。しかし、クリスマスから年末年始に休みはありません。中国では元旦だけが祝日で、あとはカレンダー通りです。日本のように大型連休がないので、旅行客も自然と少なくなるというわけです。
つまり、中国人観光客だけをターゲットにインバウンド対策をしていると12月は結果が出ない可能性があると言えます。
注目は、韓国、香港、タイ、オーストラリア!
そこで注目したいのが、12月にインバウンド数が高まる国です。JNTOの統計をみると、12月に訪日来客数が多くなっているのは、韓国、香港、タイ、オーストラリアの4か国です。
昨年、韓国からの旅行客は12月がピークで678,905人(前年同月比+37.3%)でした。この数字は、同じ月の中国人観光客より10万人以上多くなります。韓国はクリスマスが祝日ですので、若者を中心に日帰りでも日本のクリスマスを楽しみたい!という人が多いのかもしれません。
香港も同じく、クリスマスは祝日です。加えて、翌日もボクシングデーと呼ばれる祝日になっていて2連休が取れます。去年の12月は207,243人(前年同月比+9.2%)の人が日本を訪れました。今年の香港は、有休を組み合わせると2018年の12月に大型連休が取りやすいと言われていますので、それ以上の来日が期待できそうです。
12月は、タイの人々が最も来日する季節のひとつです。彼らの目当ては日本の雪景色で、2017年は115,835人(前年同月比+20.2%)が日本を訪れています。
南半球にあるオーストラリアは、日本とは季節が真逆になります。クリスマスの時期はちょうど夏休みですので、家族連れで海外旅行に出かける人も増えます。特にオーストラリアは長期滞在の傾向が強いため、消費額も高く、2017年の1人あたりの旅行消費額は225,845円でした。これは、中国に次いで2番目に大きい額です。(平成30年3月 観光庁 訪日外国人消費動向調査 平成29年(2017年)年間値(確報)より)
まとめ
どの国の人がいつやってくるのか、その傾向を把握することはとても重要です。中国人観光客の出入りが少なくなる12月に盛り上がる国へのインバウンド対策をしておけば、年間を通してインバウンドニーズをキャッチできるのではないでしょうか。