コラム2018.08.30
モバイル決済はもはや常識!中国で広がる次世代型小売店とは?
中国ではキャッシュレス化が進みモバイル決済はもはや常識となっています。主に都心部では、最新テクノロジーを活用した次世代型の小売店が相次いで出店しています。中国で最先端をいく新小売店の特徴や仕組みなどを解説します。
中国の大手IT企業が力を入れる「ニューリテール」とは?
今、中国の小売業界では、AI技術の進歩に伴い「ニューリテール」に注目が集まっています。小売業を大きく変えるニューリテールのキーワードは「オンラインとオフラインを融合」と言われています。
それは、オンライン(インターネット)・オフライン(リアル店舗)にこだわらず、ユーザーの行動をあらゆる角度からデータ化して集約し、ユーザーの体験を高めることに重きを置くマーケティング法です。
中国ではコンビニ、スーパー、飲食店など様々なジャンルの店舗でデジタル化やレジ無人化などが進み、ユーザーのニーズに合う新しい体験を提供しています。では、具体的にどんな店舗があるのか見ていきましょう。
「盒馬鮮生」…アリババのニューリテール戦略の中核
「盒馬鮮生」はアリババが出資したベンチャー企業、盒馬(ファーマー)が展開するスーパーで、アリババのニューリテール戦略の中核となります。一見普通のスーパーですが「オンラインとオフラインの融合」を体感できる最新型のスーパーなのです。
まず、店舗にある商品にはQRコードがついており、それを読み取ることで商品の生産地ほか、細かい情報を確認できます。実際に商品を目で見て、手で触れて、さらにデジタル機能により詳細データまでを確認できることが消費者の「安心」につながります。
また、購入した食材は、機械や常駐シェフにより店舗内で調理してもらえるサービスも行っており、レストランのような役割を兼ね備えています。
そして、店舗にある商品はスマホアプリを通して注文が可能で、5キロ圏内であれば、30分以内に配送してくれます。支払いは「アリペイ」のみ対応しています。
今までになかったこれらの新サービスは瞬く間に評判となり「盒馬鮮生」は急速に店舗数を増やしています。
「淘珈琲(タオカフェ)」…ストレスフリーな支払い精算方法が新しい!
アリババが2017年7月に披露した無人店舗「淘珈琲(タオカフェ)」では、顔認証やセンサーなど最新のテクノロジーが取り入れられています。
消費者は、欲しい商品を手に取り、支払いゲートを通過するだけで商品の代金が「アリペイ」から自動的に引き落とされるしくみです。また、この方法で最大50人まで同時に買い物できるので、支払精算で待たされる心配はありませんね。
「7 Fresh」…ショッピングカートのスマート化が話題!
ネット通販大手の京東が2018年1月に北京でオープンしたスーパー。コンセプトはアリババ系の盒馬鮮生に類似していますが「7 Fresh」では全体的に高級感を打ち出すことで差別化を図っています。
日本でよく見かけるマグロの解体ショーや、板前さんの実演販売などが行われます。
さらに話題性があるのが、スマート化したショッピングカート。カートのQRコードをスキャンすると、顧客がカートを押さなくても自動運転します。まさに近未来といった印象です。
「カルフール」…外資系大手スーパーのスマート店舗化
2018年5月、IT最大手の「テンセント」が業務提携したフランスの大手スーパー「カルフール」も世界初となるスマート店舗「ル・マルシェ」を上海にオープンさせました。
この店舗の大きな特徴は支払い方法です。支払いには銀行カード他、テンセント社の「WeChatPay」を始めとしたモバイル決済サービスが利用できます。
特に便利なのは「WeChat」内にある「ミニプログラム」という機能を使いスマホをレジ代わりにする方法です。購入したい商品のパッケージにあるバーコードをスマホでスキャンすれば自動的に「WeChatPay」で支払われるのです。
また、他の支払い方法として、セルフレジを利用する方法や顔認証(必要な条件を満たしている場合)による支払いなどもあります。
最後に
中国がニューリテールに力を入れる背景には、中国の消費者が「量」より「質」を求め始めていて、「商品(モノ)」から「体験(コト)」を求める傾向が強くなったことがあります。
そうしたことから、私たちはインバウンド対策として、中国人観光客のニーズをしっかりと理解し、彼らが満足する体感型のサービスを提供することが今後のインバウンド集客のカギであると考えられます。それにはまず、日本でもモバイル決済があたりまえに行える体制づくりが必要かもしれません。