コラム2018.07.05
なぜ訪日中国人観光客は100円ショップに行きたがるのか?
以前は百貨店や家電量販店での買い物を目的としていた中国人観光客。彼らの購買意欲は今、低価格の日用品に移行しています。そんな彼らに人気の場所が100円ショップです。彼らはなぜ100円ショップに行きたがるのか?その人気の理由について解説します。
“Made in Japan”に価値を感じる訪日中国人
一部では「中国人はブランド志向の方が多い」という話も耳にしますが、実は彼らも、いいものをできるだけ安く買いたいという点では日本人と近い感覚を持っています。
訪日中国人にとって「いいもの」というのは、まさしく“Made in Japan”の商品です。しかも中国で販売されている“Made in Japan”よりも日本で販売されている“Made in Japan”に価値を感じています。
そのため、日本を訪れている中国人は極端な話、デパートだろうが、ドラックストアだろうが、100円ショップだろうが、購入先はさほど気にしません。要は信頼できる“Made in Japan”を納得のいく価格で購入できるのかがポイントなのです。
なぜ100円ショップは人気なのか
中国にも低価格均一ショップは存在します。日本でおなじみのダイソーやキャンドゥも中国進出しています。それでも中国人は日本を訪問した際100円ショップに足を運びます。
さきほど「中国人は“Made in Japan”に価値を感じる」と述べましたが、それ以外にも100円ショップには中国人観光客を惹きつける理由があります。
1.自国より安く買える
中国にも日本企業の低価格均一ショップは存在しますが、日本企業の製品には関税がかかります。そのため為替レートを換算すると、中国の店舗は日本の店舗に比べてどうしても割高になってしまうのです。
日本の店舗では自国よりも商品が安く手に入るうえ、免税の対象金額に達する買い物であれば消費税が免税となります。そうしたことから、中国人観光客にとって日本の100円ショップは大変割安感が感じられるお店なのでしょう。
2.確かな品質
中国の低価格均一ショップは、価格的に仕入れられるものだけが店頭に並び、消費者のニーズやトレンドとはかけ離れたものを売るお店が多いといいます。
最近では、デザインを重視したおしゃれなお店も増えてきているようですが、品質はやはり値段相応のもので、「まぁこんなものか」と納得することはあっても「これが100円?!」と驚くようなものにはなかなか出会えません。
一方で、日本の100円ショップでは、消費者の「あったらいいのに」が形になったアイデア商品が多く揃っています。また100円には見えないおしゃれなデザインのものや、有名キャラクターものなども揃う品揃えの豊富さは、中国人観光客の購買意欲に火をつけます。
そんな品揃えの豊富さが人気の日本の100円ショップですが、その多くは中国製という事実があります。これらについて彼らはどう考えているのでしょう。
日本の100円ショップに並ぶ中国製品の品質は、100円という値段に見合っている印象はあるものの、きちんとその用途を満たしています。例えば、使用前にすでに壊れていたり、使用したことによって事故などトラブルが起きたりというケースは日本ではそう頻繁にはありません。
そうした点から、中国で売られている中国製品よりも日本で売られている中国製品のほうが品質はまともであると考えられ、中国製であっても気に入ったものがあれば購入する中国人観光客は多いようです。
3.お土産にも最適
中国では日本のキャラクターが人気で、人気の裏で類似品も多く出回っています。そのため、本物のキャラクターグッズが100円で売っていることに驚きの声を上げます。キャラクターグッズは、お土産にも適していてまとめ買いをする方が多いようです。
お土産として人気の商品は他にもあります。例えば、扇子、手ぬぐい、コマ、お手玉、折り紙、ポチ袋などの日本伝統のアイテム。また食品では抹茶味のお菓子、スナック菓子、インスタント食品などは、お土産にすると喜ばれるようです。
まとめ
いかがでしたか。日本人のきめ細やかなアイデアが盛り込まれた商品や、日本伝統の商品…こうした「日本ならでは」の品は中国人をはじめ、外国人観光客に大変魅力的に映ります。それを気軽に購入できるお店が100円ショップなのでしょう。
実は現在、100円ショップの中には、クレジットカードや電子マネーでの支払い対応ができていないお店がまだ多く存在します。しかし、東京オリンピックが開催される2020年に向け、日本ではさらにインバウンド集客が期待されています。機会損失を防ぐためにも今後、外国人観光客が多く訪れるお店ではキャッシュレス対応の導入は必要になってくるでしょう。