コラム2018.05.25
インバウンド対策に癒しの公園を!日本の国立公園が目指すナショナルパーク!
政府が掲げているインバウンド対策の中に、既存の国立公園を活用しようという動きがある事をご存じでしょうか?訪日外国人観光客が殺到するであろう2020年に向け、日本の国立公園は「明日の日本を支える公園」になれるのか、その取り組みをご紹介します!
世界の国立公園
どうして日本が国立公園の整備に力を入れているかというと、世界的に認知されているナショナルパークがインバウンドの集客に成功している事実があるからです。公園だけの利用であればテーマパークのように高額な入場料は必要ありませんし、子どもの遊び場として家族連れの海外旅行客を受け入れるにはぴったりなのです。
有名な海外の公園は、カナダのスタンレー・パーク、アメリカのセントラルパークなどが挙げられます。あのグランドキャニオンも国立公園です。
スタンレー・パークには年間800万人が訪れており、広大な敷地の中に水族館やビーチ、レストランなどが併設されています。カナダのガイドブックを見ると必ず訪れるべき観光地として紹介されており、日本の公園にはない雄大さと美しさが魅力です。
ニューヨーカーの癒しであるセントラルパークは、外国人観光客にとって憧れの公園と言ってもいいかもしれません。たびたび映画のロケ地としても登場し、ジョンレノンの記念碑があることでも有名です。毎年3500万人以上が訪れると言われる、巨大観光地でもあります。
世界で人気の国立公園のほとんどはアメリカを中心とする欧米諸国にあり、アジア圏は一歩出遅れている事は否めません。特に中国にはインバウンドの集客に適した国立公園というのは見当たらず、アジアで人気の国立公園ランキングでも圏外です。日本の国立公園も認知度は低く、その魅力を活かしきれていない現状があります。
日本の国立公園
そこで政府は「明日の日本を支える観光ビジョン」の中で国立公園のブランド化を掲げました。更に、「国立公園満喫プロジェクト」を立ち上げ、官民一体となって既存の国立公園を世界水準まで高め、インバウンドに利用していこうとしているのです。
具体的には、「国立公園ステップアッププログラム2020」と題し、既存の8つの国立公園(北海道・阿寒摩周国立公園、東北・十和田八幡平国立公園、北関東・日光国立公園、三重・伊勢志摩国立公園、中国・大山隠岐国立公園、九州中央・阿蘇くじゅう国立公園、南九州・霧島錦江湾国立公園、沖縄・慶良間諸島国立公園)に焦点をあて、それぞれにインバウンドの集客を意識した対策を取り入れていこうというものです。
例えば、阿寒摩周国立公園では訪日外国人利用者数を6.3万人から15万人まで増やそうとしています。世界最大のマリモの群生地や世界有数の透明度を誇る摩周湖など、北海道の豊かな自然をアピールするプロモーションをインバウンド向けに強化していく方針です。
三重県の伊勢志摩国立公園は、訪問する外国人のうち実に8割近くがアジア圏からの旅行者であり、全体の4割が中国人観光客です。1300年の歴史を誇る伊勢神宮を軸に、宿場町や城下町の「歴史」、海女漁や養殖いかだの「文化」、リアス海岸といった「自然」、それらが全て調和した伊勢志摩の景観の魅力を最大限活用しようとしています。
このように、それぞれの国立公園で地域の特色を活かしたインバウンド対策が計画されているのです。
最後に
2015年における訪日外国人観光客の国立公園利用者数は、約450万人でした。国は、2020年までに2倍の1000万人まで増やすという目標を掲げています。
このたび作成された国立公園の統一マークは、地平線から太陽が昇る様子を表しています。国立公園のプロジェクトが、インバウンド対策の新たな日の出となるのか注目です。