コラム2017.11.01
中国はスマホがないと買い物出来ない!?中国キャッシュレス事情と日本の現状を深掘り!
現金を持たないで支払いをする「キャッシュレス」、これは世界的な傾向ですが、その中でも中国が群を抜いて進んでいます。「スマホがないと北京では生活が出来ない」と言われるほどです。中国人のキャッシュレス事情と日本の現状についてまとめました。
中国キャッシュレス事情
そもそも、中国でなぜこれほどまでにキャッシュレス化が進んでいるのかと言うと、深刻な偽札問題があります。どんなに小さな個人商店でも、現金の鑑定機があるくらい、中国では偽札が横行しているのです。現金への信頼度の低さが、キャッシュレス化に拍車をかけている一因になっています。
現金を使わないで支払う方法は、いくつかありますが、中国で猛烈な勢いで広まっているのがスマホを使ったモバイル決済です。その2大巨頭と言われているのが、アリババグループのAlipay(アリペイ)と、テンセントのWeChat Pay(ウィーチャット ペイ)です。どちらも、事前に銀行口座を登録し、スマホに表示したQRコードを専用端末に読み取らせて支払いを完了するものになります。
先行して広がったのがAlipayで、追随して出てきたのが、WeChat Payです。WeChat Payは、中国版LINEと言われている「WeChat」の決済サービスになります。9億人以上いるWeChatユーザーの半数近くがWeChat Payの利用者だと言われています。
このように、現金が日常生活から排除されつつある中国ですが、モバイル決済の弊害が出始めているもの事実です。個人情報の流出が最も大きな懸念事項ではないでしょうか。しかしながら、その手軽さから、今後も確実に中国のキャッシュレス化が進んでいくことは間違いありません。
日本の現状
世界的にもキャッシュレス化は進んでいます。しかしながら、日本はキャッシュレス後進国とさえ言われているのです。
日本でも現金を使わず、様々な支払方法を選択できます。クレジットカードはもちろん、SuicaやPASMO、関西圏のICOCAなどの交通カード、nanacoやWAONなどの電子マネーカード、各種ポイントカードでも支払いが可能です。モバイル決済では、携帯各社がいわゆる「おさいふケータイ」に対応していますし、LINEにも「LINE Pay」というWeChat Payと同じような機能があります。
このように様々な支払方法が乱立していますが、中国のように偽札の心配はありませんし、現金への信頼度は高い為、日本はまだまだ現金での支払いが主流です。
日本政府は、2020年の東京オリンピックに向けて、キャッシュレス化を進めようとしています。2014年に閣議決定された「日本再興戦略」改訂において、「2020年オリンピック・パラリンピック東京大会の開催等を踏まえ、キャッシュレス決済の普及による決済の利便性・効率性向上を図るため、関係省庁において年内に対応策をとりまとめる」という趣旨の内容が明記されています。中国を筆頭としたインバウンド需要を考慮したことはもちろん、今後の日本の商取引の活性化にも繋がるとしています。しかしながら、キャッシュレス化が進められているという実感がないのが、本音ではないでしょうか。
まとめ
日本人が日本で物を買う時に、キャッシュレスで支払いが出来ないからと言って文句を言う人はいないでしょう。しかし、今後日本が観光立国としてインバウンド需要を取り込みたいのであれば、せめて最大の顧客である中国人がストレスフリーに支払いが出来る環境を整えるべきではないでしょうか。「現金で支払うのが不便だ」「カードを出すのが面倒だ」となると、中国人観光客の足が遠のきかねません。更なるインバウンド需要を取り込むためにも、モバイル決済の導入を一考する価値はあると思います。