コラム2017.09.20
中国の越境ECの制度について
中国の越境ECは、2016年4月8日から新しく始まった税制度が2017年度末までに延期され、新制度開始前に全容をまとめてみました。
中国の税金について
中国越境ECを利用する際に、考えなければいけないのが税率に関することです。中国の税制は非常に複雑で、変更されることも多いので注意が必要です。
・関税 中国に輸入される商品に中国政府が課す税金。中国政府が税関を通る際に徴収します。
・増値税 流通段階で商品に課す税金。基本税率は17%で特定品目は13%に減税される。
・消費税 特定の嗜好品や贅沢品に対して工場出荷時か輸入時に課す税金。品目によって3~45%か課税される。煙草、酒、資材、輸入贅沢品、非生活必需品などに課税されます。輸入贅沢品や非生活必需品とは、ゴルフ用具、化粧品、アクセサリー、乗用車、バイクなどです。煙草は1カートン30~45%、化粧品は30%、貴金属・宝石は5%となっています。
・行郵税 個人で海外から買ってきたものや、個人輸入の郵送品に課す税金。品目や物流形式によって税率は異なります。
保税区と直送の違い
越境ECを用いた輸入は、物流形式は2パターンあり、1つは保税区を利用した輸入(関税、増値税、消費税が課せられる)。もう1つはEMSなど国際郵便を利用した輸入(行郵税が課せられる)があります。
新税制では、保税区を利用の場合、「関税、増値税、消費税」が課税されることになりますが、年間2万元、1回2,000元以下であれば、関税は「0%」になり、増値税(基本17%)と消費税が70%課税されることになります。これ以上の金額になった場合、一般貿易扱いとなり、関税により徴収となってきます。
・保税区を利用した場合の税の計算方法
(消費税+増値税)×0.7
※0.7というのは、越境ECによる輸入では、発生する消費税および増値税に対して、政府はさらなる優遇措置をとっています。消費税および増値税をまるまる徴収するのではなく、その7割でいいという優遇措置です。
・行郵税に関しては「15%、30%、60%」の3段階となっており、50元までの行郵税は免税となります。
最近、東京や大阪を歩いているとよく見かける、大きな旅行ケースをもって大量に商品を購入し、商品を梱包しEMSで送り、また買い物に行く光景。
税金のことを考え、少しでもお得に自国に持ち帰りたいという背景があるのだろう。
中国政府の新制度は、正規通関での海外からの商品流入に対しての検閲・審査基準を下げるのではなく、回避策として、中国政府自身が越境ECという新たなビジネスを活用して、税関の検閲がきちんと届く範囲内で暫定的に海外商品を国内に流通させる仕組みを提供するという側面があります。
現在、MIホールディングスが行っている越境ECではEMSなどを使った配送方法を使っており、新制度開始後に配送方法を増やしていく予定です。今後、中国への商品販売の拡大をめざす企業様はお気軽にご相談ください。