コラム2020.01.28
中国人観光客に岐阜が人気に!その秘密を探る
中国人観光客にとって人気の観光地といえば、京都、大阪、東京といういわゆる「ゴールデンルート」が定番と言えるでしょう。それに対し、今急速に伸びている観光地がいくつもあります。その一つが、「岐阜県」です。なぜなのでしょうか?秘密を探ります。
火付け役となった「君の名は」ブーム
岐阜県が注目を集める大きなきっかけとなったのが、テレビなどでもよく報道されている通り「君の名は」の聖地巡礼ブームです。
中国でも圧倒的なヒットを記録したこの映画は、観光先としての日本の魅力を大いに高めました。その中でも舞台と言われているのが、岐阜県の飛騨高山地方です。厳密に言うと岐阜県のみが舞台とは言えず、諏訪湖近辺などもモデルとは言われているのですが、作中に全く同じ風景が複数回登場する岐阜県は、この映画によって大きな恩恵を受けました。
中でも最も有名なのは飛騨古川駅での電車がすれ違うシーンでしょう。日本人よりも、中国人観光客の方がよく見かけるほど、著名な観光地となりました。駅前のタクシー乗り場のシーンも有名ですね。
他にも作中の神社のモデルと言われる気多若宮神社や飛騨市図書館など、飛騨高山地方には映画ファンが訪れたくなる場所が多く存在します。風光明媚な町並みと相まって、貴重な観光資源となっているのです。
日本文化を直接感じることができる岐阜県
岐阜県の中国人観光客増加は「君の名は」ブームによる一過性のものではなく、今伸び続けています。何が海外からのお客さんを引き寄せているのでしょうか?
一つの大きな理由が、「日本の原風景」らしさです。海外の観光地では、首都や主要都市以外にも、小さいながらも美しい街並みを残している土地が高く評価されます。
チェコにおけるチェスキークルムロフ、スペインにおけるアルバラシン・・・リピーターほど、こうした王道ではなくとも確かな美しさを持った土地を求めるのです。日本におけるその一つが、岐阜だと言えるでしょう。
最も代表的なものは白川郷でしょう。合掌造りで知られる世界遺産にもなったこの伝統的集落は、外国人観光客から見ても非常に魅力的で、美しく映ります。
そもそも世界遺産という時点で大きな訴求力を持ちます。世界遺産というブランドに弱いのは日本人に限らないものです。その上で現在も人が居住している、山間の美しい集落はそのアクセスの困難さを跳ね除けてでも訪れたくなる強い魅力を持っています。
また、もう一つ重要なのは日本の文化を色濃く残す郡上八幡地区です。司馬遼太郎が日本で最も美しいと評した山城郡上八幡城の城下町であるこの地域は、町並みのみならず文化面でも日本の美しい原風景を十分に残しています。
観光客の多くはバスでのアクセスを選ぶようですが、宿泊施設の少なさは少々ネックとなっているようです。
温泉も大事なポイント!
岐阜のインバウンドについて語る上で、なんといっても温泉は外せません。
最も有名なのはやはり日本三名泉にも数えられた下呂温泉でしょう。屈指の湯量、泉質を誇りますが、その町並みも人気の理由です。
市街地の中央にある無料の噴泉池など、温泉地らしい雰囲気も素晴らしいものです。立ち寄りで足湯を楽しめることも、観光客にとって嬉しいポイントですね。
また、下呂温泉と並び人気なのが飛騨地方の平湯温泉です。武田信玄ゆかりと言われる歴史ある温泉で、近年周辺の観光地の人気が上昇したこと、アクセスが良化したしたことなどから大きく注目を集めています。冬場は雪景色の温泉を楽しめるというのも良いですね。
提灯が並ぶ夜の風景はとても幻想的で、高い人気も納得できます。
最後に
近年、中国人観光客から大きな人気を集めている岐阜県。理由は多くありますが、中心にあるキーワードは「日本らしさ」です。
無理に日本らしさを押し出しているのではなく、伝統から現れている日本の良さが、リピーターの中国人観光客に受けているのです。これは岐阜県のみならず、日本全体のインバウンドにとって重要な観点かも知れません。