コラム2019.08.30
中国人観光客が今日本にサッカーを見に来ているワケ
日本で大変人気の高い球技、サッカー。日本代表の試合は国民の注目を集めます。
しかし、中国にあまりサッカーのイメージは無いのではないでしょうか。
しかし近年、大変な注目を集めているのです。スポーツツーリズムの可能性について探ります。
現地のサッカー人気は?
よくサッカーを観戦する人でも、中国のサッカーについて詳しい人は多くないでしょう。
というのも、韓国やサウジアラビアのように、代表戦で見かけることが少ないからです。
以前から、中国でのサッカー人気は高いものでした。
きっかけは1980年代から当時人気絶頂だったセリエAの中継を中国国内で行っていたこと。
さらに近年、中国経済の急成長とともに中国のスポーツ人気は急激に高まっています。
ただサッカー中国代表は昨今とても力をつけてきているとは言え、まだワールドカップで勝敗を争うようなレベルには達していません。
では一体、何が中国のサッカー人気を牽引しているのでしょうか。
キーワードは、「クラブ」です。
アジアで屈指の実力を誇る中国クラブ
サッカー代表が振るわない中、世界において屈指の存在感を誇るのが中国クラブです。
クラブとは、ガンバ大阪や川崎フロンターレといった、いわゆるプロサッカーチームのこと。
各球団外国人を積極的に補強しており、その選手は必ずしも自国選手とは限りません。
中国クラブはその経済力から、有名外国人選手の補強を積極的に進めてきました。
近年有名なのは6100万ドルで上海上港に移籍したフッキ、5100万ドルで江蘇蘇寧に移籍したサントスが大きな話題を集めました。
昔からあった中国人のサッカー熱が、中国の経済成長で世界的に知られるようになった形と言えるでしょう。
中国クラブは大型移籍の話題性に留まらず、高い実力を伴っています。
アジア一のクラブを決定するACLでは過去十年でJリーグと同じ2度の優勝を経験するなど(ともに広州恒大足球倶楽部)、Jリーグに引けを取らない高いレベルにあると言えます。
中国資本のサッカーへの注力は選手の補強に留まらず、本場欧州にも及んでいます。ACミランやインテルなど欧州の名門クラブを中国資本は買収し、その他にも数多くのクラブが中国からの』投資を受けています。
今や世界のサッカーは、中国という国とは切っても切り離せない関係とすら言えるかもしれません。
日本にサッカーを見に来る中国人
そしてそうした中国でのサッカー人気の高まりを受けて今非常に注目されているのがスポーツツーリズム、日本への旅行としてサッカー観戦を行うことです。
元々、日本のサッカーへの関心は高いものがありました。韓国と並んで東アジアのサッカー先進国であり、欧州サッカーの人気が高い中国において日本人選手の知名度は高いです。
そして、日本は日韓ワールドカップの開催により、サッカーに関する環境整備が進んでいます。
そうした「サッカーインフラ」の高さもスポーツツーリズムにおいては重要なのです。
またサッカーには遠征という文化もあり、ACLなど日本のチームと中国のチームが試合を行う際、中国クラブのサポーターが日本を訪れそこから関心を持つケースもあります。
更に近年、ヴィッセル神戸に加入したイニエスタ選手を始め、中国クラブと争奪戦になった欧州の名選手が来日するケースが目立ちます。
日本人よりもこうした選手への関心が高い中国人観光客は、観光のついでにとサッカー観戦する人がここ数年は特に増えています。
さいごに
スポーツツーリズムはまさに観光拡大の起爆剤と言える存在です。
というのも、そこまで日本に関心を持っていない層、旅行にお金をかけない層も選手やサッカーを見るために日本を訪れるからです。
国外の遠征となると、サッカーを見に来たついでに・・・と観光する人がほとんどです。そのついでの観光で日本に魅力を感じてもらうことこそ、観光の裾野を広げるいい機会なのではないでしょうか。