コラム2019.02.10
古い町並みの救世主!インバウンドが救う京町家
昔ながらの京都の町並みを形作る、「京町家」。
しかし近年、住みづらい、古い、建て替えたいといった理由から激減しています。
このままでは古い町並みが消えてしまうかもしれないという危機に、インバウンドでの活用が解決策として注目されています。
京町家が消えつつある
皆さんは「京町家」をご存知でしょうか?
京町家自体は知らなくとも、京都の町並みと言えば木造で、シックな日本独特のものを想像する方が多いかと思われます。
これは京都が他の大都市と違い、第二次世界大戦の際に大規模な空襲を受けなかったことに由来します。
なので、京都は観光を目当てにしていない一般住居でも、戦前の古い建物が多く残っていたのです。
…ここ数年までは。
近年、京町家はその数を大きく減らしています。
やはり住居として見た時建物が古く、寒い、暗いという理由から住みづらいと感じる方が多いからです。
また住人の方にも高齢の方が多く、階段が急でバリアフリーが十分とは言えない町家には住めなくなってしまう、という現状もあります。
これは京都だけでなく、「小京都」と呼ばれるような古い町並みを持つ都市全てに共通して起こっている問題です。
一般に日本を含むアジアは町並みが雑然としていると言われがちです。これはもちろん、自由に好きな家を建てられる権利があることと、
これに加えて日本の場合は、 個人の財力でも古い家に住まずとも新しく建て替えられるという経済の優れている点が背景にはあります。
しかしながら、そんな中京都のような「和風」な町並みは、貴重なものです。
インバウンドなどの観光資源としても、街の魅力そのものである古い町並みは絶対に守っていかねばならないものではないでしょうか。
インバウンドと「京町家」
とはいえ、町家は基本的に個人の住居です。
維持管理にも莫大な費用がかかり、その負担は簡単に押し付けて良いものではありません。
そうした中、まさに町家の救世主と言えるのが、インバウンドでの活用です。
今、町家を活用して観光資源として利用することが多くなっています。
その中でも、特に注目されているのが宿泊施設としての利用です。
町家は古くからの日本の特徴を残しているので、海外から来る観光客にも大変な人気があります。
町家を相続された方が宿泊業経営を始めるケースもあれば、町家など古い建物をリノベーションし、宿泊施設として利用する専門の業者も存在しています。
実際の活用例
では、実際にどういった形で京町家を宿泊施設として活かしているのでしょうか。
典型的な業態は、一棟貸しです。
従来のホテルは部屋を区切り、その一部屋として貸し出すケースが定番でした。
しかし町家では、建物をまるまる貸し出すケースが多く見られます。
ちなみに法律上は旅館やホテルと異なり「簡易宿所」という扱いとなります。
また、一人あたりいくらと徴収するのではなく、一棟で貸し出し、何人が利用しても値段は変わらず、という業態が多いです。
一般的な日本のホテルや旅館などは部屋料金ではなく、一人いくらと人数に応じて徴収するので何人泊まっても値段が同じというのは少し違和感があるかもしれません。
しかし、海外のホテルでは人数ごとで料金を取らず部屋ごとで計算するのが主流なこと、一棟貸しでは実際に何人宿泊したかの実態調査が難しいこともあり、こうした料金体系が合理的と考えられているのでしょう。
もちろん、町家をリノベーションすることは必要です。特に気をつけるべきはトイレの問題でしょう。
町家に多い和式トイレは外国人観光客に戸惑われることも多いので、洋式トイレに付け替えたほうが無難と言えるでしょう。
最後に
今まで経済的な負担が大きかった町家の新たな活用策として、インバウンドが注目されています。
京都に限らず、日本中の古民家の保存策として救世主と言えるでしょう。
古い町並みは日本の宝とも言えるものですから、後世に残していきたいですね。