コラム2018.08.15
中国人観光客が「家庭薬」を爆買いし続ける理由とは?
かつての爆買いの勢いは落ち着きを見せている中国人観光客。しかし、彼らは一部の商品に対しては今もなお購買意欲を示しています。その商品とは一般医薬品、つまり「家庭薬」です。彼らが日本の家庭薬を爆買いし続ける理由は何なのでしょう。
日本企業の商品を信頼している中国人観光客
中国人観光客の多くは、日本の家庭薬に絶対的な信頼をおいています。確かに日本の製薬会社には、各々に力を入れている分野があり、これだけは負けないという自慢のオリジナル商品があります。だからこそ、日本には使い勝手がよく、効果も期待できる商品が多く存在するのでしょう。
ちなみに、中国にも製薬会社はあり家庭薬を販売していますが、日本で売られている家庭薬の類似品は存在しないようです。あったとしても、その質は日本のオリジナル商品とはかけ離れたものなのでしょう。
できるだけ病院の世話になりたくない中国人
中国の病院は診察費が高く、待ち時間も長いので、中国人はできるだけ病院のお世話にならないよう日々の健康管理に気を遣う傾向があります。
そんな中国人にとってありがたい存在が日本の家庭薬なのです。日本の家庭薬は高性能でよく効くとされており、常備しておけば、急に体調不良になってもピンポイントで症状を緩和できるからです。
また、健康管理を気遣う彼らにとって、安全で高品質な日本の健康食品もまた人気です。
中国人観光客の爆買い対象となる「神薬」とは?
「神薬」という言葉を聞いたことはありませんか。「神薬」とは中国人が日本を訪れた際に必ず購入したい日本の家庭薬(一般医薬品)の総称で、2014年に初めて中国のポータルサイト「捜狐(ソウフ)」で神薬のリストが発表されました。
その後、チャットアプリの「微信(WeChat)」を始めとしたSNSで「神薬」は瞬く間に拡散し、多くの中国人の間で評判になりました。
では、具体的にどのような商品が「神薬」と呼ばれているのでしょうか。
不動の人気商品もあれば、急に注目されるようになった商品も含まれています。
2017年の秋に紹介された「神薬10選」を見ていきましょう。
1.目薬…サンテボーティエ(参天製薬)
アンチエイジングをコンセプトとした目薬です。この商品は、効能のよさはもちろんですが、それに加え、香水ボトルのようなおしゃれなパッケージデザインが人気のひみつです。
中国のオフィスでサンテボーティエを使うことが一種のステータスにもなっているとか。
2.消炎鎮痛剤…アンメルツヨコヨコ(小林製薬)
アンメルツヨコヨコが人気の理由は、一人でも塗れる独特のボトルデザインでしょう。そしてスーッとしたクールな感覚は、肩こりや腰痛に悩む中国人にうけています。中高年の男性に特に人気です。
3.のど薬…龍角散(龍角散)
大気汚染やPM2.5などが深刻な社会問題となっている中国おいて喉の炎症やトラブルを抱える人は多いです。龍角散は幅広い年齢層に根強い人気の商品です。
4. 咳・痰薬…ダスモック(小林製薬)
中国では、大気汚染やPM2.5の影響で気管支が汚れ、痰がからむ症状がある人も多いようです。ダスモックは、16種類の生薬からなる漢方薬で、気管支の汚れを取り除き、咳や痰の症状を抑え呼吸を楽にします。まさに中国人のための神薬といえるでしょう。
5.液体絆創膏…サカムケア(小林製薬)
液体の絆創膏は、中国で類似品を見かけることがありません。その珍しさと、傷口にピタッととどまり水が染みないという使い勝手の良さが人気の理由です。
6.冷却シート…熱さまシート(小林製薬)
冷却シートは類似品も多いですが、その中でもはがれにくい粘着力と冷却時間の長さから、熱さまシートが最も中国人に支持されています。子どもがいる家庭では必須アイテムとされています。
7. 下痢止め…ストッパ(ライオン)
中国人も日本人同様に、下痢をしやすい体質の人は多いです。水がなくても飲めるストッパは効果に即効性があるので、もしもの時に困らないよう携帯しておきたい薬の一つです。
8.L−システイン製剤…ハイチオールC(エスエス製薬)
中国の女性にお土産として買っていくと大変喜ばれるでしょう。中国の女性は素肌ケアを重視する方が多いため、シミ・そばかす・美白効果が期待できるこの商品が魅力的に映るようです。
9.胃薬…強力わかもと(わかもと)
中国では家族、友人、会社関係など様々な場面で食事会が開かれます。みんなで楽しむ食事会ではつい暴飲暴食をしてしまいがちですよね。疲れた胃のケアのためによく購入されている商品です。
10.女性保健薬…命の母A(小林製薬)
ホルモンバランスや自律神経の不調による症状を緩和する薬です。更年期障害に悩む中国人女性のリピーターが多い商品です。
まとめ
日本の家庭薬が中国人観光客に爆発的人気である理由を見てきましたが、いかがでしたか。
家庭薬は使ってしまえばなくなりますので、定期的に購入する必要があります。
中国にいながら越境ECを利用し日本の家庭薬を購入することもできますが、どうしても割高になります。そうしたことから、訪日中国人は観光ついでに、家庭薬を大量買いするようです。
日本のドラッグストアでは中国人観光客の爆買い姿を、今後もまだまだ見かけることになることでしょう。
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