コラム2018.07.20
需要急増!中国人観光客がクルーズ船旅行にシフトチェンジし始めている背景とは?
昨今、日本ではクルーズ船を利用する訪日外国人客が年々増加しています。なかでも中国人観光客にその需要が高まっているといいます。飛行機ではなく、あえてクルーズ船を選ぶ理由は何なのでしょう。そのブームの背景について考えていきましょう。
クルーズ旅行が格安化!手が届く身近な存在に
クルーズ旅行というと、「時間にゆとりのある富裕層が優雅に楽しむ旅行」というイメージではありませんか?そんなクルーズ旅行事情が、実は最近変わり始めています。
世界中でクルーズ船のランクの多様化・カジュアル化が進み、クルーズ旅行を格安で楽しめるようになっているのです。クルーズ船のランクには、ランクの高い順に「ラグジュアリー船」、「プレミアム船」、「カジュアル船」があり、サービス内容や施設の快適性などが利用価格に反映されています。
また、船の規模にも種類があり、大型・中型・小型に分かれています。ここ10数年で急激に需要が増えているのが大型船です。その理由は、やはり利用料金の安さ。多くの乗客数を乗せることができる大型船は、一人当たりの料金が抑えられています。
その客室の種類も複数あり、格安の部屋から順に「窓無しルーム」「窓ありルーム」「バルコニー付きルーム」「スイートルーム」とおよそ4種類備えられていることが多いです。
このように、クルーズ船に選択肢が増えたことで、利用者は好みや予算に合わせて選ぶことができるようになりました。
ちなみに、アジア諸国のクルーズ利用者の80〜90%はカジュアル船を利用しており、その中でも、最もカジュアル船の利用率が高い国が中国だといいます。
格安クルーズの実態とは
中国人観光客の利用が増えている大型カジュアル船のクルーズ旅行とはどのようなものなのでしょうか。格安に利用できるため、そのサービス内容にはあまり期待ができないのかと思うと、そうではないようです。
大型船はその船の大きさを活かし、船内設備や娯楽施設が驚くほどに充実しています。船によって内容は異なるものの、例えば、免税店、3Dシアター、プール、スケートリンク、クラブ、カジノ、遊園地、ロッククライミングなど様々な施設が備えられており、そのスケールは壮大です。
また、接客は親しみやすく、テーマパークのクルーのように乗客を楽しませてくれます。ダンスや曲芸などのショープログラムもあり、家族みんなでリラックスして過ごすことができます。
中国人がクルーズ旅行を好む理由とは
中国人がクルーズ旅行を好むのは“家族の絆を大切にする”“効率的なことを好む”といった彼らの性質や思考傾向が関係していると考えられます。
中国人は、3世帯旅行、親族を交えた旅行など大人数で旅行を楽しみたいというケースが少なくありません。その場合、ネックとなるのが大荷物を持って移動する手間です。
クルーズ旅行は、飛行機での旅行と比較して、荷物を運んだり、移動したりする手間が軽減されるメリットがあります。また、本来移動にかかる時間を、無駄にせず船内の施設で思い思い楽しめることは大きな魅力なのでしょう。
それ以外にも1回の旅行で複数の場所を訪れることができる点や、船内での食事代はかからず自由に食べられるという点、たくさんお土産を買っても無制限に持ち込みができる点などが“効率がよく楽しめて、コストパフォーマンスに優れている”という評価につながっていると思われます。
過去最多!クルーズ船で日本旅行をする外国人観光客
では実際、どのくらいの外国人観光客がクルーズ船を利用して日本を訪れているのでしょうか。
国土交通省の発表によると2017年にクルーズ船で入国した訪日外国人旅客数は、約253万人。前年比約30%増とのことでした。
また、外国のクルーズ船が日本の港湾へ寄港した回数は2014回で前年より517回多く、訪日外国人旅客数とともに過去最高の結果となっています。
なお、日本政府は訪日クルーズ旅客を2020年に500万人にすることを目標としており、日本各地の主要港で国際クルーズ拠点整備をすすめるなど、外航クルーズ船の寄港促進に向けた取り組みに力を入れています。
まとめ
いかがでしたか。訪日中国人の爆買いブームは落ち着き、その代わりにクルーズ旅行へシフトチェンジしている背景には、モノからコト(体験)へニーズが変化していることが読み取れます。
クルーズ旅行の増加に伴い、従来のゴールデンルートに含まれない地域にも、今後中国人観光客が多く訪れることになるでしょう。日本のクルーズ旅行のさらなる発展に、経済効果が期待できますね。