コラム2018.07.18
中国人観光客は日本のビールを飲まない?日本のビールをもっと知ってもらうには。
中国人はビールをよく飲みますが、「特に日本のビールが好き!」というわけではありません。では、日本を訪れた中国人観光客にもっと日本のビールを味わってもらうにはどうすればいいのでしょうか?中国人のビール事情を探りながら考えてみたいと思います。
データでみる中国人とビール
ビール消費量・生産量の世界1位は、ともに中国です。とは言え、世界全体のビール消費量は2年連続でマイナスとなり、中国も同様に前年比3.4%減少しています。(「キリンビール大学」レポート 2016年 世界主要国のビール消費量より)
減少の原因としては、夏の天候不順やレストランでの消費量の低下、中国のビール市場が成熟したことが挙げられていました。それでも、中国人の若者を中心にビールは人気のようで、酒類のネット販売が普及してきたことで今後も伸びる余地はあると言われています。
中国人と日本のビール文化
データを見ると、「中国人はビールが好き」と言っても間違いはないでしょう。しかし、「日本のビールを好んで飲むか」と言うと、そうではありません。
中国のビールと言えば、青島ビールです。安価で美味しい青島ビールは中国人になくてはならないビールです。中国産のビール以外では、ドイツやベルギーの輸入ビールが人気です。しかし、日本のビールはほとんど目にすることがありません。その一因は、価格にあると言われています。
青島ビールにもいくつかのランクがありますが、だいたい5~7元(約85~119円※1元=17円で計算)程度です。ドイツやベルギーの輸入ビールも、概ね5~10元(約85~170円)となっています。
それに比べ、アサヒのビール瓶は1瓶で14.8元(約252円)、レストランや日本料理店で日本のビールを注文すると、1瓶30元(約510円)程度かかります。1本100円ほどで飲める中国産のビールと比べると、かなり高価な飲み物です。
仮に、中国人観光客が日本でビールを飲みたいと思っても、100円では発泡酒も飲めません。中国人観光客から見れば、「日本のビールは高すぎる」のです。
また、飲み方の違いにも日本のビールを好まない理由があります。中国人が冷たい料理や飲み物を避けることは有名ですが、ビールも例外ではありません。中国人は、ビールを常温で飲むことが多いのです。日本のビールは「冷やして美味しいビール」です。中国人から見れば、グラスまで冷やして飲む日本のビールは、美味しそうに見えないのかもしれません。
中国人観光客には高級志向と工場見学がカギ
一方で、明るい兆しもあります。それは、中国人消費者が徐々に高級志向に変化していることです。中国のビール市場では、プレミアムビールが売り上げを伸ばしています。2010年のシェアは約10%でしたが、2019年末には33%まで伸びるという予想さえあります。
そうなれば、中国国内での日本の高級ビールも売り上げが伸び、中国人観光客が日本でビールを手に取る機会が増えるかもしれません。中国ではクラフトビールにも注目が集まっていますので、中国人観光客の間で日本のご当地ビールが流行る可能性は大いにあるでしょう。
更に注目しておきたいのが、ビール工場の見学です。全て無料で案内してもらえることに加え、最後に試飲までついてきます。特に外国人に人気のエリアでは、英語や中国語での案内もあります。中国では高くて飲めない日本のビールをタダで楽しめることもあり、中国人観光客の見学者は増えているようです。
まとめ
夏は、インバウンドのベストシーズンです。喉の渇きに日本のビールを選んでもらうには、もう少しPRが必要でしょう。まずは1杯飲んで頂き、その味を知ってもらうことが大切かもしれませんね。もちろん、中国人観光客にビールを振る舞う時は、常温にしておくことをお忘れなく。