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コラム2018.05.02

中国人観光客はコト消費にシフト!日本人の海外旅行史との関係とは?

中国人観光客はコト消費にシフト!日本人の海外旅行史との関係とは?

最新の中国人観光客推移

JNTO(日本政府観光局)が発表している訪日外国人観光客数の速報値を見ると、相変わらず中国人観光客が首位を守っています。しかし、実のところは他の国との差が徐々に縮まっているのです。
特に、韓国からの観光客が増えています。2018年の1月は韓国人観光客が80万8300人だったのに対し、中国人観光客が63万2300人で首位の座を明け渡しています。2月には再び中国人観光客が最も多くなりますが、その差は僅か8000人ほどです。

では、中国人観光客は潮目かと言うと決してそうではありません。中国人の数も依然として増えていますので、中国からの訪日観光客が減ったというわけではなく、他の国が伸びてきていると捉えるのが正しいかと思います。
数では他国と肉薄してきましたが、観光庁が3月末に発表した2017年の国別の旅行消費額を見ると、中国人が使うお金は圧倒的に高額でした。韓国人観光客1人当たりの消費額は約7万円、中国人は3倍以上の23万円を日本旅行で支払うのです。全体で見ても、総額の4割近い額を中国が占めていました。

やはり、これからも引き続き中国人観光客を主軸に、インバウンド対策をすれば間違いないなさそうです。

中国人観光客と日本人の海外旅行史

とはいえ、これまでと同じように中国人観光客が好む買い物メインの集客をすればいいのかと言うと、それは違います。中国人観光客が求めるものにも変化が見られるからです。
これまでは「団体旅行で初来日し、買い物を楽しむ人」が大勢を占めていましたが、最近では「個人旅行で再来日し、日本を体感したい人」が増えています。この傾向は今後さらに強まると予想されます。

実は、このような旅行内容の変化は昔の日本人にも当てはめることが出来るそうです。かつて、日本人にも自由に海外旅行が出来ない時代がありました。1964年に海外への渡航が解禁されますが、当時は1人年1回のチャンスしかなく、持ち出す現金にも制限がありました。

中国と同じように、最初は一部の富裕層のものであった海外旅行でしたが、1970年には団体旅行の割合が高まっていきます。そうして初めて海を渡った日本人も、最初は有名な観光スポットを訪ねて定番の品を買い占めていました。
瞬く間に海外旅行は大衆化され、1970 年代後半には海外旅行者の半分がリピーターになったと言われています。このように、海外へいく機会が増えると定番以外を試してみたくなるものです。
あまり日本人が行った事のない国、再訪した国であれば都市部から地方へ、そして、その国でしか出来ない体験や経験を求めて様々な場所へ出かけていくようになります。つまり、日本人も「モノ消費」から「コト消費」に移り変わっていったと言えるのです。

最後に

これまで日本人が歩んできた海外旅行の歴史を、中国人観光客も同じように辿るのではないかと思われます。中国人に団体の海外旅行が許可されたのは、わずか20年ほど前の1997年。すでにその傾向は出始めているのです。
今、中国人観光客は都市部から地方へと足が向いており、彼らが求めるのは「日本を体感できること」、所謂「コト消費」と言われるものです。それは、過去の日本人の流れと同じです。

中国人観光客が望む旅行内容は、刻々と変わっていきます。その変化の行先を捉えるためのヒントは、私たちがこの50年の間に積み重ねた海外旅行の変遷の中に隠されているのかもしれませんね。

 

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