コラム2018.02.23
医療ツーリズムに注目！中国からの爆受診、爆検診がくる？
爆買いに陰りが見え、中国人観光客を取り込む次の一手を考えなければいけない時にきています。今、中国で注目されている事の一つに日本の医療が挙げられます。海外で医療を受ける医療ツーリズムとはいったいどういうものなのでしょうか？
医療ツーリズムとは
中国からの観光客が単なる観光目的ではなく、日本の医療機関で検診や治療を受ける為に来日することを言います。医療ツーリズムでやってくるのは、中国でも富豪と言われる富裕層の人がほとんどですが、その年齢層はだんだんと若くなってきているそうです。というのも、中国で成功者と呼ばれる人が多いのは３０～５０代で、若くしてエリートになった人ほど自身の体調管理に余念がないのです。徐々に庶民さえも高度な医療を求めて日本にやってくる傾向にあり、さまざまな中国人が医療ツーリズムを利用し始めていると言ってもいいでしょう。中国における医療の熱は冷めることを知らず、ここ数年は医療関係者や旅行代理店向けの医療展覧会が開かれるほどになっています。
しかし、なぜ中国にも多くの病院が存在するのに日本までやってくるのでしょうか。その理由は大きく２つあります。１つ目が、中国での医療への不信です。中国の病院では、１人の医師が１日に診る患者の数が１００人～数百人と言われ、きめ細かな対応がされにくい現状があります。また、治療費が不透明だと感じている中国人も多く、若い世代ほど医療への不信が根深いのです。
もう一つが日本の高度な医療の技術や検診への期待です。「中国で見つからない癌でも、日本では見つけられるかもしれない」とまで言われるほどです。さらには、日本の医師・看護師・検査技師など医療に携わる人々のホスピタリティも評価が高い一因です。中国の人々からすれば驚くほどきめ細かい問診と丁寧な対応は、今まで経験したことがない安心感を与えるのではないでしょうか。
日本が力を入れる国際医療交流
中国の人々が医療で来日するのは日本だけではありません。その目的に合わせて国を選んでいるようで、インドへは不妊治療、アメリカへは癌の治療、韓国へは美容目的で出かけていきます。
日本では主に健康診断でやってきます。最新の先進医療技術を持ち合わせた東京や大阪のクリニックの人間ドックと合わせて、近くの温泉療養施設を訪れ身心の休息を取っているのです。今までは、爆買いを目的に一分一秒を争う旅行をしていた中国の人々の旅行スタイルと比較するとずいぶんと変化してきたなという印象を受けます。医療ツーリズムで日本行きを選ぶ人は増加の一途を辿っており、２０２０年には３０万人以上の中国の人々が医療を目的として来日すると予想されているのです。日本国内の大手旅行代理店も、観光と健康診断をセットにした医療検診ツアーを組んでいます。日本政府もこの流れを受け、国際医療交流に力を入れています。２０１１年から医療滞在のビザの発給を始めました。
そもそも、日本には「国民皆保険」という考え方によって、医療は福祉の面が強く、それを商業化することには抵抗がありました。アメリカなどでは医療は商業化されており、中国で宣伝活動を行って顧客の取り込みを行っています。中国の人々が始めた医療ツーリズムの波が、日本の医療に対する考え方を大きく変えていくかもしれません。
最後に
地理的にも３時間程度で来ることが出来る日本は、中国の「かかりつけ病院」になるかもしれません。医療ツーリズム人気とはいえ、費用もかかることですので、今はまだごく一部の中国人を対象としたことですが、今まで日本人の平均寿命世界一を支えてきたメイドインジャパンの医療が、日本を代表する観光資源となる日も近いのではないでしょう。
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