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コラム2019.05.07

2019年1月に施行された中国電子商取引法(EC法)ってなに?

今年の1月に施行された中国電子商取引法(EC法)をご存知でしょうか?中国の法律なんて関係ないと思うかもしれませんが、越境ECや爆買いの対象となってきた日本も無関係ではなさそうです。いったいどんな内容でしょうか。

中国電子商取引法(EC法)とは?

EC法の中で重要と思われるポイントをいくつかご紹介します。

・納税の義務の発生。脱税した場合は刑事責任を問われる。
・微商(WeChat上のEC等の商業のこと)や、個人の代理購入者も営業許可証の取得が必要。
・購入国と中国と、両方の営業許可証取得が必要。
・偽物がECプラットフォームで販売された場合、販売者とプラットフォーム運営会社の両方が責任に問われる。

これまでを思うと、厳しいルールが敷かれたと言えます。
無許可のままで貿易行為を行なっていた人たちは、CtoCプラットフォームをはじめとした電子商取引において営業許可証を提示し、正規ルートにて販売、納税をしなければならなくなったのです。

また、
・粉ミルクや保健品などは、中国語の商品説明と中国国家関係部門が認可している工場での生産品のみ販売可能。それ以外は販売禁止。
という内容も含まれており、代理購入の始まりとも言える粉ミルク事件(2008年に中国国産の粉ミルクに毒性があったという事件)との関連性も伺えますね。

中国電子商取引法(EC法)の目的とは?

EC市場において「消費者保護」「脱税行為」「不正競争」「 知的財産権侵害・粗悪品」「紛争解決システム」などの問題があることに対し、それらを解決することを目的としています。

もっと簡単にいうと、最大の目的とは代理購入(代購)と呼ばれる個人ブローカーの取り締まり強化だといえます。
もちろん、個人だけではなく、個人の協力者と組んだ業者も対象です。

2017年には「サイバーセキュリティ法(網絡安全法)」も施行されましたが、さらにEC市場の規制強化が進んだ形です。

実は約5年も前から検討が始まり、3回もパブリックコメントを募集した上で、2018年8月に全人代常務会議で採択されたのです。

EC法が施行された背景

ここ5年ほどで著しく成長した中国におけるECサイトでの海外品の購入。その多くはCtoCでも行われるようになっていました。
CtoCのユーザー数は2013年の1,800万人から2018年には8,800万人へと約5倍の成長を遂げています。

先ほどからご紹介しているようにCtoCで行われる取引の多くが、代理購入によって行われていました。代理購入を行なっている人たちは貿易をしているという意識もなく、大量の商品を海外から持ち込み利益を上乗せして自ら販売、もしくは業者から利益を得、納税をしていない状態でした。

代理購入を行うのは、それを第一の目的とした人ばかりではなく、海外旅行や出張のついでに大量の商品を購入(爆買)してお小遣い稼ぎをしている人も大勢いました。中国人留学生の中にも、アルバイト感覚で代理購入を行なっている人が大勢おり、代理購入市場が伸びる大きな要因となっていました。

中国は関税が高いです。中国国内の正規流通品より代理購入された商品の方が安く買えるため、消費者からも人気があるので、簡単にお小遣い稼ぎができます。中には、年商数億円を稼ぐようなモンスター出品者もいたのです。

このような状況により、正規ルート品とグレーゾーン品との不平等が生まれ、脱税が横行してしまっていました。
これまで個人間のやりとりは基本的にスルーされてきましたが、ここに目をつけた中国政府によって生まれたのがこのEC法というわけです。
脱税行為を行っている人たちから税金を納めてもらうことができれば、年間数千億円ほどの増収が見込まれていると言われます。

最後に

EC法の施行により、税金の支払いや罰金を恐れた代理購入者の多くは、出品を控えていると言います。
このまま、営業許可書を持たない個人や転売屋はなくなっていくことになるでしょうか。
まずは売上の多い店舗から政府のチェックが入っていくようですが、無数にある個人販売者への対応にも注目が集まりそうです。

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