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コラム2017.12.05

中国人観光客に魅力ある日本を!体験型観光「スポーツツーリズム」とは?

中国人観光客に魅力ある日本を!体験型観光「スポーツツーリズム」とは?

スポーツツーリズムという言葉をご存じでしょうか?スポーツを観光資源とした、新たなインバウンド対策の一手で、行政や観光業界が力を入れている取り組みです。最大顧客である中国人観光客も注目する、「スポーツツーリズム」に迫ってみたいと思います。

スポーツツーリズムとは

「スポーツツーリズム(スポーツ観光)」とは、プロスポーツを観戦したり、実際にスポーツイベントに参加したりする人々と、そのスポーツを「支える」開催地や周辺地域の観光地の人々との交流や、経済への波及効果を指します。
具体的な例を挙げると、例えばプロ野球やJリーグの観戦、北海道でのツーリングやスキー体験、沖縄でのダインビング体験、各地で行われるマラソン大会などへ観光客が参加することにより、開催地や訪問地域の観光地も合わせて巡ることで、経済活動が活性化するという流れです。このように、スポーツツーリズムを取り入れたインバウンド需要の獲得に、各自治体も様々な取り組みを行なっているのです。

政府は、平成23年にスポーツツーリズム推進基本方針を打ち出しています。「スポーツで旅を楽しむ国・ニッポン」と題し、スポーツを通じて新しい日本旅行の魅力を創造し、訪日旅行の活性化を図ることを狙いとしています。

中国人観光客とスポーツツーリズム

先ほどご紹介した、スポーツツーリズム推進基本方針の概要にも、中国人観光客に関する調査結果が掲載されていました。「今後の再訪日旅行でしたいことは?」という問いに対し、スポーツ以外の選択肢もあるなか、約3割の中国人観光客がスキーやスノーボードなどのウィンタースポーツを体験したいと答えていました。北京が2022年の冬季オリンピック誘致を目指しているため、ウィンタースポーツに対する人々の関心が高まっているのかもしれません。
また、スポーツに限って「日本で観戦・参加してみたいスポーツは?」と質問してみると、第一位は大相撲の観戦、続いてプロ野球の観戦、スキー、柔道などの武道観戦、Jリーグの観戦と続きました。

さらに、東アジア全体に健康ブームが拡大している背景も、スポーツツーリズムの追い風になっています。中国ではマラソン人口が右肩上がりに増えていて、愛好家は約2000万人とも言われています。中国国内のマラソン大会は年間400大会を超えているそうです。日本でもマラソン人気は高まりをみせており、インバウンドの観光客も思わず走りたいと言わせるような、有名な観光地を巡るコースが設定されるなど、各開催団体も工夫をこらしているのです。

これまでの中国人観光客の旅行といえば、爆買いに代表される「消費」が代表的な旅の目的でしたが、観戦や参加などの「体験」を重視した内容に変化してきているのです。このように、中国人観光客の興味は日本を体験する=スポーツツーリズムに目が向き始めていると言えます。

スポーツツーリズムの課題

スポーツツーリズムがさらに推進される為には、課題も多く残されています。スポーツ施設での言語や決済の問題、観戦や参加の際の観光客のルールやマナーの問題などがあります。また、中国人観光客が初めて来日するときは圧倒的に団体旅行が多く、かなりの過密日程によって、彼らのスケジュールにゆっくりとスポーツを観戦したり体験したりする時間的余裕はありません。スポーツツーリズムを通して、日本の魅力をアピールするには、中国人観光客に再訪を促す必要があるのです。そのためには、事前の情報発信が不可欠です。

まだまだ余力があると思われるスポーツツーリズム、2020年に行われる東京オリンピック・パラリンピックに向け、スポーツツーリズムの地盤を一層固めていきたいところです。

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