コラム2017.10.10
越境ECで中国人は帰国後もお買い物!中国の越境EC市場と今後を探る!
中国人観光客の購買意欲は果てしなく、衰えることを知りません。彼らは日本を観光した後、帰国してもなお日本製品を買いたいと思っています。その要望に応えるのが、越境ECです。今注目されている越境ECでもっともっと中国人の消費を取り込みましょう。
越境ECとは
「越境EC」という言葉を初めて聞く方のために、まずはその意味を理解しておきたいと思います。辞書によると「越境」とは、境界、特に国境を越えることを意味しています。次にECですが、これはelectronic commerce(エレクトロニック コマース)を省略したものになります。つまり、国を越えた電子商取引を指しているのです。
具体的に言うと、海外の方がインターネットを使って、海外向けに作られたウェブサイトで製品を購入し、その商品が国境を越えて購入されることを言います。
越境ECのデータ
2017年4月に経済産業省より発表された、「平成28年度 我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(電子商取引に関する市場調査)」という報告書の中から、越境ECに関する気になるデータについても押さえておきたいと思います。
中国の越境EC(日本・米国間)の総市場規模は21,737億円となっていて、その内、日本経由の市場規模は10,366億円、これは対前年比で30%以上の伸び率となっていました。また、2016年から2020年までの市場規模の推計を見ると、越境ECを使った中国の消費者による日本からの購入額は年々右肩上がりに推移し、2020年には19,053億円で、現在の約2倍になると予想されています。
次に、その購入商品の中身についてもデータがあります。日本・米国・中国各国の越境ECにおける購入商品はすべての国で第一位が「アパレル・靴・アクセサリー」のカテゴリとなっていました。
中国は特徴的で、同率第1位に「化粧品」、続いて第3位は「食品・飲料・アルコール」でした。その中でも健康食品の人気が高いようです。さらに中国ならではの結果として、第8位に「ベビー用品、子供向け商品」、第10位に「健康関連商品、市販薬、絆創膏 」が入ってきています。これは、米国のランキングではどちらも10位圏外のカテゴリです。ニュースなどでも、中国人観光客がドラッグストアで「粉ミルク」や「紙おむつ」を爆買いしているのを見かけたことがあるかと思います。直接身に着けるものや、身体に取り入れる物に対して、安全性の高い日本メーカー商品への信頼度が高いと言えます。
さらに、越境ECに不可欠なインターネット普及率についても記述がありました。固定系だけでなくモバイルも含めたインターネット普及率は、日本が83.0%、米国は88.6%と推計されるのに対し、中国は国内における所得格差も影響してなのか僅か52.3%で、日米に比べて低い水準となっているようです。しかしながら、中国では日本よりも急速にインターネット環境が整備されています。これからの中国はインターネット人口の伸び代が十分にあると言ってもいいでしょう。つまりは、越境ECの市場規模の拡大も大いに期待できるというわけです。
まとめ
少し前までは、一個人が海外の物を購入することはとても難しく、同様に個人店や中小企業が海外の顧客を開拓することはハードルが高いものでした。さらに、国境を越えて物を売るとなると、商品サイトの構築、輸送や決算方法、集客、カスタマーサポートなど、様々な不安が思い浮かぶでしょう。
しかし、インターネットの普及により、国境という垣根が取り払われつつあるのは事実であり、中国における対日本への越境EC市場は、今後も拡大の一途をたどることは間違いなさそうです。日本の国内市場は今後縮小することが予想されているため、海外への販路を構築しておくことが、今後の活路を見出すことに繋がるかもしれません。